自分自身のパワハラ体験について語る

◆なぜパワハラ体験を書こうと思ったか

今回は私自身がパワハラを受けた経験とパワハラを行った経験について書きます。

なぜ、そのことを書こうと思ったのか、それはその経験が「パワーハラスメント対策専門社労士」として立場を明確にしていこうと思った大きな理由でもあるからです。

今回のブログを読んでいただけることで、パワーハラスメントの被害者の気持ち、パワーハラスメントの加害者の気持ちが少しでも分かっていただければと考えています。

まず、私自身がパワーハラスメントを受けていた経験について書きます。

社会保険労務士として開業する前は、鳥取県職員として主に県庁のいろいろな部署で働いていました。その中でパワハラを受けていたと自分が思っているのは2回あります。(今回はそのうちの1回について書きます)

◆パワハラ被害者の経験

1回目は、土木の部署で働いていた時ですが、その部署は当時災害対策で大変な状況にあり、その渦中に課長補佐として異動しました。技術職である課長が先頭に立って職員を叱咤激励して引っ張っておられ、土木の部署では少々きつい言葉で叱咤激励してもそれが当たり前のことで、それについて行けない職員は根性がないとされていました。

自分は事務職で土木の技術的なことは良く分からず、課全体が大変な状況で、しょっちゅう部長協議や知事協議があり、ピリピリした状況の中で毎日のように課長から厳しく指導、注意され、部下との関係もぎくしゃくして、県庁に行くのが本当に嫌でした。

「今日1日課長から何も言われなければよいが、平安な日であればよいが」ということしか考えませんでした。そのような状況下で、私のラインにいた3名はいずれも異動希望を出し、そのうち1人は県職員に採用されて1年目でしたが、1年で退職しました。

今ならパワハラという言葉が浸透していますが、その当時は厳しい上司はリーダーシップがあると見られ部長や知事からも一目おかれていた存在でした。

ただし、その下で働く者は精神的にとてもつらかったです。

ただ自分が課長の立場だったらどうかと考えると、本当に課題が山積みで常に部長からプレッシャーを受け、議会でも叩かれ、本当に必死だったんだろうなと今なら言えますが、当時はそこまでの余裕はなく、自分のことだけで精一杯でした。

私自身は1年で異動したので、そこで本当に安堵したのですが、小さい会社なら異動もありませんので、そのつらい状況から逃げるには辞めるしかないと思います。

◆パワハラ加害者の経験

次に、自分自身がパワハラをした経験についてお話します。

これは、ある特定の人に対して意識的に長期にわたってパワハラをしたということではなく、なんであんなことをしたり、言ってしまったのだろうと良く分からないところがあります。

具体的には次のようなことがありました。

私自身は当時事務部門の統括的な立場にあり、委託業者を選定する場面で、業者にプレゼンをしてもらい、選定委員会で採点してもらい業者選定をするということをしていました。

その際、委員会の採点結果が皆が考えていた結果と真逆の結果になり、今までよくやっていただいた業者ではなく、別の業者になり、そのことでそのサービスを利用していた職員はとても悲しむことになるので、どうしてなのかという思いでした。

そこで採点結果を確認してみると、ある特定の選定委員が、極端な点数をつけており、それが原因であったことが分かり、その職員を厳しく問い詰め追い込みました。その職員も反論したため、さらに厳しく問い詰め追い込みました。

結局、その結論はひっくり返しようがないので、業者を変えることになったのですが。

その当時は、私が問い詰めた職員の気持ちには全くと言っていいほど、気にも留めませんでした。

自分だけの都合や思いでやったことではなく、関わっている皆の気持ちを代弁してやっているとの思いでした。今となって、自分が社会保険労務士になり、パワーハラスメントの相談を受ける中で、自分がやった行為はパワーハラスメントに他ならないと思っています。

ただ、素直に被害者の職員に謝ることができるかというと非常に難しいとは思います。

それにはいろいろなものが邪魔します、自分の保身もあります、自分は正しいことをやったのだという自己弁護、あなたが悪いという責任転嫁など、本当に素直になれない気持ちです。

◆今となって思うこと

こうやって、自分自身のパワハラの被害者と加害者の経験を振り返ってみると、その気持ちは本当に対照的で、加害者と被害者が気持ちを通わせ和解しあうのはとても難しいのではと思いました。

結論として、パワハラの案件は、職場で起こったときにはそれぞれの案件がとても複雑で、お互い和解するということはとても難しいし、人間関係なので規則がこうだからということで割り切れるものではないと思いました。

Follow me!

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事