社労士の行っている行政協力

◆行政協力とは

社会保険労務士として行っている仕事の中に、行政協力というのがあります。

要は、国や県の役所からの仕事をアルバイトとして行っているものです。社会保険労務士として開業したてはそんなに仕事もありませんので、この行政協力で仕事させてもらいながら、実際の業務で知識経験を得て専門性を磨くとともに、行政の内部で仕事をすることで行政の考え方も学び人的なつながりもできるという一石二鳥、三鳥にもなるありがたいお仕事です。

◆私がやっているのは主に2つの業務

前職である県職員を退職してすぐの令和2年4月から行ったのが、労働局の総合労働相談員という仕事で労働者の方や企業の方から様々な労働相談が労働基準監督署に寄せられますが、この相談に対応するという仕事です。

もう一つは、令和4年4月からハローワークで雇用調整助成金の受付業務を行っております。

今回、そのことについて守秘義務などに触れない範囲で書きたいと思います。

◆4月から始めたハローワークの業務

まず、最近始めたハローワークの業務についてその概要と、自分の所感を述べさせていただきます。

まず、この仕事はとても緊張します。初日からいきなり助成金の受付をする窓口で書類を受け取り、申請者の目の前で書類を確認して形式審査を行い、受付をして受付をした書類の写しをお渡しします。

助成金はコロナ禍の特別措置として行われている雇用調整助成金で、特例としてかなり有利な取り扱いがされているものです。

コロナの影響で飲食店などは休業で仕事がなくそのままだと従業員に賃金が払えず廃業しないといけないということになりますが、休業しても従業員に休業手当を支払い雇用を維持した場合、休業手当と支払った額に対して助成金を交付するものです。

人件費を国が肩代わりしているもので、毎月相当の額の助成金を雇用保険の財源から払い続けているものです。

申請書類としては出勤簿の写しや賃金台帳、休業手当の計算書、売り上げが減少していることの証明書類と助成金の申請書類などです。

会社によって書類の形式が違い、休業手当の計算の仕方もいくつかのパターンがあるのでそれをパッと見て理解して正しいかどうか確認するのは熟練が必要ですし、短時間にすべてをチェックすることはできないのでまず必要な書類がそろっているか確認し、あとはいくつかチェックポイントを絞って確認しています。

なぜ、この仕事が緊張するかというと、前で人がじっと見ている前でてきぱきと受付業務をしなければならずとてもプレッシャーに感じます。

書類をばらばらとあっちを見て、こっちを見てとやっていると何やってんだと思われます。初日にはお客さんから「あんた慣れてないな」と言われました。

「そうなんです。まだ慣れてません」と答えましたが。これではなめられています。

ただし、雇用調整助成金の受付業務に絞った仕事なので、慣れてくれば機械的にさばけるのではと思っています。まだまだ修行中ですが、ハローワークの職員の方と連携して対応しており周りの方に助けていただきながらなんとかやっているという状況です。

◆労働局の総合労働相談員の仕事

この仕事は、令和2年4月から始めたので2年になります。労働基準監督署にかかってくる労働相談の電話の相談を受けて答えるのと、窓口に労働相談にこられてそれに対応する業務です。

相談の内容は、職場での労働条件に関する問い合わせや、労働条件に関するトラブル、労使間のトラブルに関するものがメインになります。そのなかでも多いのは、「職場でのいじめに関すること」「年次有給休暇に関すること」「解雇や退職に関すること」「時間外勤務に関すること」「給料や手当の計算に関すること」などが多いですが、個別の案件ごとに内容は様々で同じ相談に同じように答えればよいというものではありません。

監督署に相談をされるということは、相談者はとても悩まれていてどうしていいか分からない、監督署は敷居が高いけどそこしか聞くところがないので勇気を出して電話や直接来られるという方が多いと思います。

お話は自分の思いで話されるので順番が飛んだり、自分の思いを強調されたりして、何を聞きたいのか自分はどうしてほしいのか整理されていない場合もあります。

私の心構えとしては、まず何を話されるのかそこの場で初めて聞くわけですから、相手の話を聞き洩らさないようにしっかり聞き要点をメモすることに全神経を集中して聞きます。

さらに相手に話しやすいように相槌を打ち、共感をしながら、話しやすい雰囲気づくりをして、まずは言いたいことを全部言ってもらうように心がけています。

聞かれていることについて、その問題だったら答えはこういうことだと言いたくなることもありますが、口を挟まず、まずは言いたいことを全部言ってもらうようにしています。

話したいことを話すことで気持ちがすっきりすることもありますので。

一通り話されてから、こちらからいくつか確認すべきところを質問をして相談内容を整理していき、どのような助言や回答をしたらよいか考えをまとめていきます。

それから、相談者が聞きたいことは何なのか、どのようなことを望んでいるのか聞きながら回答や助言をしていくという流れになります。

この仕事は、相談者の方は相当に悩んでおられる状態で来られますので、こちらもとてもエネルギーを使います。

自分としてはこの仕事にとてもやりがいを感じており、相手の方の要望にとことん答えて、私の持っている専門知識や経験を全部投入してお答えしようという気持ちでやっています。

相談者の方がすっきりされ、納得された様子で帰られると、お役に立てて良かったという気持ちになります。

◆社労士として行政協力というのはどうなの?

自分にとっては、行政協力の仕事をすることにより確実に給料による収入が入り、なおかつ社労士としての専門性も磨かれ、関係する行政の中に入って仕事をしているので中の様子も分かり、役所にどのように対応したらよいのか相手の気持ちや考え方を分かったうえでやれるのでこれも大きいと思っています。

ただし、いつまでも行政協力で飯を食っていくのでは、社会保険労務士として開業して独り立ちできていないということになりますので、このままではだめだということは肝に命じています。

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