従業員が安心して元気に働いてもらうために、パワハラを許さない職場づくりは必須になります。
◆なぜそう思うか
自分自身が過去に県職員で県庁の複数の職場で働いていた時に、少なくとも2つの職場で継続的にパワハラを受けており、毎日職場に行くのがとてもつらかった。仕事のことより、今日は○○さんから何も言われなければよいなということを常に考えていました。そのような状況で、仕事に積極的になれず、十分な役割を果たしていないと常に感じていました。
さらに、社会保険労務士として起業し、労働基準監督署で相談員として労働者の方から相談を受ける中で、多くの人がパワハラで苦しんでおられ、そのような方は本当に会社を辞めるしかないと思われている方がほとんどであると実感したからです。中には、メンタル疾患になられて、主治医からストレスとなっている原因から離れなさいと言われているという方もおられました。
その様な方は、休業するか辞めるしかないですよね。
◆会社としてどうなの
パワハラのない職場環境を作ることは、どの会社にとっても必要なことで、それは次の2つの面で言えると思います。
一つ目は、もちろん従業員が安心して働け、日々心身ともに元気で働いてもらい成果を出してもらうためにパワハラのない職場づくりは必須要件だと思うから。
2つ目は、労働施策総合推進法でパワハラ防止措置やパワハラへの対応が事業主の義務とされ、裁判事例でもパワハラについて事業主責任が問われており、会社のリスク管理の面でもパワハラ防止とパワハラがあった場合の対応について事業主としてやるべきことをやらなければ、大きなリスクとなります。
つまり、労働者からパワハラ相談があれば、迅速かつ適切に対応する義務があり、加害者から聞き取りをしてパワハラの事実があれば、加害者を処分することになります。この場合、加害者は管理監督者や部下を持っている従業員で会社が処分をためらう場合もあります。
さらに、被害者から損害賠償の訴えや労災申請が出されることもあります。
そうなってくると、会社経営に専念するどころではなくなります。
◆パワハラは決して、個人同士の問題ではない
パワハラは決して当人同士の問題ではありません。そこのところ本当に分かってますか。
前述したように会社としても重要なテーマです。
さらに、私自身もパワハラについて学んで、過去に自分がパワハラを知らず知らずにやっていたことが分かり、あの時私がパワハラをした職員の方はつらかったろうな、申し訳ないなと思います。ただし、人間は嫌なことは忘れようとしますので、自分で意識しないと思いだすこともないでしょう。
◆トップの宣言
経営者であるあなたはどうですか。従業員に向かって次のように宣言してみてはどうでしょうか。
「私は、パワーハラスメントをなくしてだけもが安心して働きやすい職場にすることは大変重要だと考えております。
私も怒鳴ることがあります。だけどこれからは行き過ぎたと思った場合は、「申し訳なかった」と言おうと思います。皆さんも怒鳴ることはあると思いますが、行き過ぎたと思った場合は、部下や後輩に謝ってもらいたいと思います。
一朝一夕にはいかないかもしれませんが、コミュニケーションを良くして意見やアイデアを言い合える風通しの良い職場にしていきたいので、皆さんの力を貸してください。」